「あのおもろいカタチしたやつかいな」
「おそらくそうです」
「大阪の人に言わせると、アートとか芸術って、{おもろい}で
かたづけられてしまいそうだね」
と小声で言ったつもりが、運転手さんに聞こえてしまった。
「なにゆうてまんねん。大阪は戦前から芸術の街でっせ。
市内だけで30以上もの美術館やら博物館がおまっせ」
「昔の豪勢な商売人が自費で購入したものを、ぽーんと寄贈したもんも
けっこうあるしな。芸術に造詣が深いからできることですがな。」
「大阪市立美術館のような?」
「お客さん、なかなか勉強してはるなぁ。うれしいなぁ」
「そんでよう似た名前の美術館やら博物館が多いんでなぁ、
最初にカタチとか展覧会の話をして確認するようにしてるんですわ。
地名があやふやなお客さんもいたはるさかい」
「・・・プロだね」
「あの中之島のおもろいカタチの美術館は、いまやったら
エッセンシャル・ペインティングちゅう、現代アートの展覧会やってまっせ。」
「そうなんですか。運転手さんも観られましたか」
「わしか。わしは前をとおるばっか。トオルくんや」
「・・・?」
会話が次第に意味不明になりかけたところで、国立国際美術館に到着した。
「大阪の運転手さんってみんなあんな漫才師みたいなのかな?」
大阪生まれの妻に聞く。
「10人中12人はそうやね。と返すのが、ディープな大阪人かな」
「きみもそんな返しができるの??驚いた!」
「相手が大阪の人だったらね。大阪弁はリズムだから。
『ねん』とか『でっせ』を言葉じりにつけただけでは、大阪弁にはならないのよ」
出張が延びて、クリスマスまで帰れなくなったと電話すると、
「じゃあ、私が行く」ということで、週末大阪で逢うことに。
仕事で移動する本町と天王寺以外、土地勘がない私を案内するように
やって来たのが、中之島にある国立国際美術館。
「ここで現代アートを観て、そのあと、ロイヤルホテルでランチね」
大阪ではリーガロイヤルホテルのリーガを略すらしい。
「ところでなんで国立国際美術館なの?」
「このカタチ。おもしろいでしょ。完全地下型って世界でも珍しいのよ。1F は
エントランスロビーだけなの。展示スペースはB2F とB3F。完全に地下に埋ま
ってるって感じ」
「やっぱり君もさっきのおじさんと同じ感覚なんだ」
「微妙〜。国立国際美術館ってね、大阪万博の時には万国博美術館と呼ばれ
てたの。万博閉会後、改装し77年に国立国際美術館として再デビューしたわけ。
当時としては、カッコイイ建物だったのよ。
ガラス張りの壁で、階段状になって。結構好きだったのよね」
「なんで、この中之島に移設したの?」
「老朽化とスペース不足、それに万博公園の中だと、ちょっと行くには
不便だったのよね」
「それで、わたしの勝手な想像なんだけど、元がモダンな建物で、展示品が
現代アートなら、それまで以上にインパクトのある建物にしなきゃいけない
っていう空気があったんじゃないかなと思うの」
「なるほど」 「で、ここの目玉はなに?」
「展示作品もすばらしいんだけど、イベントがおもしろいの。
映画上映したり、クラシックコンサートを開いたり、こどものための
ワークショップもよく、開かれてるみたい」
「それと、ジョアン・ミロの壁画『無垢の笑い』、
アレクサンダー・コールダーのモビール『ロンドン』、
高松次郎の絵画『影』の3作品。
これがね。パブリックスペースに展示されてるから、
入場料を払わなくても観られるんだって」
「きみ、いつからそんなに詳しくなったの?」
「じつは今日大阪へ来るときの※JAL機内誌『SKYWARD2006.12月号』に
偶然、特集されてたの。それで思い出してね。ロイヤルホテルに近いし」
「なんだ、そういうことか」
「それだけじゃないのよ。家の玄関に飾ってる元永定正さんの作品もあるのよ」
「もこもこもこの元永さん?いいね。早く入ろう」
※「SKYWARD」はJAL機内誌ですが、下記のサイトから入手可能です。
http://www.jalbrand.co.jp/skyw/
国立国際美術館
最新情報は公式サイトでご確認ください。
http://www.nmao.go.jp/
■ 展覧会「エッセンシャル・ペインティング」「小川信治展」「コレクション3」開催中!
2006年10月3日(火)~ 12月24日(日) ★小・中学生: 無料
□ 所在地:530-0005 大阪府大阪市北区 中之島4-2-55
□ 開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
*展覧会によって、開館時間の変更及び夜間開館することがあります。
□ 休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日が休館)、
年末年始(12月28日〜1月4日)
★但 し、5月1日(月)は、通常通り開館します。
このほかに臨時に休館することがあります。
※展示替えのため休館:
平成18年12月25日(月) 〜平成19年1月12日(金)
平成19年3月26日(月)〜平成19年3月31日(土)
□ 観覧料(常設展)
一 般 : 420円(210円)
大学生 : 130円( 70円)
高校生 : 70円( 40円)
※小・中学生、65歳以上、心身に障害のある方及び付添者1名:無料
※( )内は20名以上の団体料金
※特別展・共催展の観覧料はその都度別に定めます。
□ 携帯サイト(http: //www.nmao.go.jp/m/)
交通案内
□ 地下鉄四つ橋線肥後橋駅(3番出口)より西へ徒歩約10分
(現在、3番出口が工事中により閉鎖中のため、2番出口をご利用ください。)
□ JR線大阪駅、阪急梅田駅より南西へ徒歩約20分
□ JR大阪環状線福島駅、東西線新福島駅(2番出口)より南へ徒歩約10分
□ 阪神電車福島駅より徒歩約10分
□ 地下鉄御堂筋線淀屋橋駅、京阪電車淀屋橋駅より西へ徒歩約15分
□ JR大阪駅前より、市バス53号系統で、「田蓑橋」下車、南西へ徒歩約3分、
□ または88号系統「土佐堀一丁目」下車、 北へ徒歩約4分
※美術館には駐車場はありません。ご来館は、電車・バス等をご利用ください。
MAP(公式サイトの交通案内 地図ページへリンクします)
http://www.nmao.go.jp/japanese/koutsu.html
画像提供:国立国際美術館
高松次郎作「影」は地下1階ミュージアムショップの横にあります。
影」をデザインしたグラス各¥1800.-、
ポストイット¥500.-
太陽の塔グッズは、万博公園時代のなごりかな。ミニチュア太陽の塔¥1365
投稿情報: 玉かつ | 2006年12 月18日 (月) 22:43
国立国際美術館B1Fのレストランは、石鍋シェフのクイーンアリスアクア。
お昼のコース
アクアランチ : 本日のポタージュ・お好きなメインディッシュ・コーヒー (平日のみ)1,500円
おすすめです。
ディナーは3,500円から。
Tel.06-6449-0064(レストラン直通)
投稿情報: 石鍋 | 2006年12 月18日 (月) 22:39