★柏木敬太の“新スローな旅”シリーズ。 魂の贅沢を求めて、バリ島を巡る。
「地上最後の楽園」という宣伝コピーが、本当は深い意味を持つバリ島。
知れば知るほど、底なしに吸い込まれていく奥深さの正体はいったい何なのだろう。
その人には、その人のバリがある。訪れる人の、夢や欲望をそのまま受け入れてくれる、実現してくれる。夢がかなう魔法の島。それがバリ島の正体なのかも知れない。
想像してみてください。日本でも流行のクリームバス※1で、頭皮をマッサージされながら、足下ではフットマッサージとペディキュア専用スタッフ、両手もネイルケアとハンドマッサージ担当が同時進行している姿を。総勢3名の女性エステシャンが、仕事でたまったストレスや旅で疲れたカラダを、経路(気の流れ)にそってもみほぐされているじぶんの姿を。
「お姫様&王子様のマッサージ」と呼んでいる、いたれりつくせりのマッサージコース。数ある街スパの中から選んだのは、サヌールのジャラン・ダナウ・タンブリガン沿い、バリハイアット近くにある「パナシェ」で。この店は日本人や欧米人ロングステイヤーに人気のサロン。
ボディーマッサージとヘアカットまでつけてかかった費用総合計なんと30万ルピア。約4000円でお姫様、王子様気分に浸れる数時間。これぞバリマジック!訪れる人の欲望をそのまま受け入れてくれる「地上最後の楽園」の正体。お財布を気にせずお姫様&王子様気分を味わえるなんて、日本ではありえません。怖くて出来ないけど、おそらく5万円以上は請求されることでしょう。
安いのはいいけど街スパに入るのは、ちょっと勇気がいるというあなた。たとえば日航バリのマンダラスパでストーンマッサージを受けても75USドル。同じマンダラスパでも、ワイキキにあるヒルトンハワイアンヴィレッジの半額です。
街スパは、写真のとおり店の内装がちょっと昭和の香りがするレトロ調。でも気持ちのよさはどちらも同じ。高級感で選ぶか、ネームバリューで選ぶか、料金で選ぶかは、あなたの自由。
街スパでも、外国人向けの店ならほとんどの店で英語を話します。パナシェなど日本人駐在員夫人がよく通う店なら片言の日本語を話す人がいるときも。料金は英語表記の料金表がきちんと印刷されているので、安心です。
あまりの気持ちよさにおつりの5万ルピアをチップで渡すと、全員で店の外までお見送りに来てくれました。
バリは、スパ&マッサージ天国。石を投げればスパかマッサージ店に当たるのでは?というほど、店があります。正直、乱立気味。その分、マッサージがうまい店とそうじゃない店ははっきり分かれます。ただオイルでなでられただけとか、中国風の足つぼの絵を店の前に飾っていながら、完全にツボをはずしまくるシロウト同然の人とか。初めての人は、口コミ情報を集めてトライしてください。指圧のような強いマッサージが希望なら「ディープマッサージ」と伝えましょう。
マッサージよりも治療に近いものを望むなら「トラディショナルマッサージ」がおすすめ。有名なのがウブドのボディーワクス・センター。神の手を持つと言われるクトゥ・アルサナ氏の指名は3ヶ月先まで予約が埋まっているほどの人気ぶりです。
ウブドに連泊予定でボディーワクス・センターの予約を入られなかった人は、キャンセル待ちのウエイティングリストに載せてもらいましょう。ラッキーなら施術がうけられるかも。
そんな有名人でなくても、トラディショナルマッサージがうまいおじいさんはウブド周辺に結構います。ホテルのコンシェルジェで「あなたが行くトラディショナルマッサージはどんなどこ?」と聞いて、隠れた名人を捜すのもいいかも。バリは不思議な力が渦巻く島。出会いの力を信じれば、きっと見つかるでしょう。
以前、風邪をこじらせ、効き過ぎると言われるバリの風邪薬さえもまったく効果がなかったときのこと。さらに強い薬を買いに出て、ふらふらと歩きながらなぜか、吸い込まれるように入った一軒の日本料理店。夜遅かったこともあり、店には女性店長と常連さんのような男性がひとり。具合が悪そうなのが一目でわかったらしく、心配して話しかけてきてくれた。そして、そのお客さんに、体の中に溜まっている悪いものを出し切った方がいいと「バリ式解毒法」を教えてもらった。
短時間熱めのお湯につかり、しっかり汗をかき、乾いたタオルでカラダを拭くことの繰り返し。最初はドロドロとした汗が吹き出し、そのうちさらさらの汗に変わる。それで、カラダの外に毒素が抜けていったという考え方。日本でも聞いたことはある。
せっかくそんな話を聞いても、ウブドのロスメン※2では、熱いお湯を湯船にためることを前提にしていない給湯器が多い中、たまたまその時宿泊していた宿は、日本人向けにたっぷりのお湯を供給できる仕様の宿だった。
それにしてもバリの民間療法にやけに詳しいこのひとは、いったい何者なんだろう。聞けば、日本では気功を操る整体師。バリ島ではバリヒンズー教のお坊さんについて、修行らしきことをやっているというはなしだったような気がするが、詳しいことまでは覚えていない。翌日、じぶんが宿泊するロスメンまで来てもらい、関節や筋のひとつひとつのパーツを調べるように施術してもらった。
カラダを治したいと願うじぶんが意識朦朧となりながら入った店で、出会ったのが気功を使う整体師。単なる偶然と片づけるのは簡単な話だが、それではバリ島の魅力を半減させてしまうような気がする。バリ島のウブドという村には、今も神々が宿り訪れる人を導いている、そう考えるほうが、バリの旅をもっと楽しくしてくれる。訪れる人の夢や欲望をそのまま受け入れてくれる、実現してくれる最後の楽園なのだから。
※1 クリームバスとは、頭皮や髪の状態にあわせてクリームを選定したケアと、薫りによるリラックスにより、心とからだのバランスを整える、バリ、インドネシアの自然療法が起源のヘアエステ&ヘッド、デコルテマッサージです。
※2 ロスメンは、バリの民宿、安宿。500円〜5000円程度まで、幅は広い。安い部屋では、水シャワーのみが多い。高い部屋はホテル並みの設備が揃っている。広い大家の敷地に点在するように建てられたヴィラタイプのロスメンは、いかにも隠れ家風で、ファンが多い。私もその一人。レストランなどないので、朝食は部屋まで届けてくれる。クバヤ(バリの民族衣装)を着た女性が、部屋のテラスまで朝食を運んできてくれる姿を見ているだけで、ちょっと王子様お姫様気分にひたれる。
バリ島は行ったことないんですけど、マッサージ気持ちよさそう!って伝わってきますね。次回も楽しみにしています。
投稿情報: ty5577 | 2006年9 月 3日 (日) 18:59