サントリーミュージアム[天保山]
「あっ、『ポンペイ展』が終わってしまう!」
「それって『ポンペイの輝き 古代ローマ都市 最後の日』のこと?」
「そう、1月21日までだけど、行ける日ある?」
「場所は天保山?」
「サントリーミュージアム[天保山] 。
地下鉄中央線「大阪港」駅1番出口下車徒歩約5分だって」
「車で行けるかな?」
「阪神高速道路 大阪港線・湾岸線「天保山」出口より車約5分。
駐車場料金は、乗用車:30分につき180円/台って書いてある」
「行きたいなぁ。でも年末早めに仕事を切り上げて旅行に行ったから、
仕事が溜まっているんだよね」
「仕方ないわね。一人で行ってくる。想い出のポンペイだし」
いつもは、休日の美術館巡りだと、一緒に行ってくれる夫も今回は、
相当仕事が忙しいようだ。仕方がないので、ひとりで行くことに。
去年の夏、レンタカーを借りてイタリアを縦断した。
10日間で2000km走破。南はポンペイから北はミラノまで。
久し振りのマニュアル車に刺激された夫は、アクセルいつもより多めに踏み込み、
イタリア人並の巡航速度で、オートストラーダ(高速道路)を駆け抜けていった。
真剣な顔をしてハンドルを握り、少年のように目を輝かせてドライブを楽しんでいた。
じかし、実際は景色が現れたかと思うと背後に吸い込まれる連続。
イタリアの田舎の風景を楽しむ間もなく、あっという間にナポリ、
そしてポンペイに着いていた。
そんなことを思い出しながら、地下鉄に乗る。
「大阪港」駅で降りた乗客の人波は、海へと向かっている。
流れに逆らうことなく歩いていけば、見上げる大観覧車、左手が海遊館。
そして道路を挟んで、サントリーミュージアム。
円錐を逆さにしたような外観のフォルムは、安藤忠雄の設計。
大阪ベイエリアのランドマーク的存在となっていることがよくわかる。
石段を登りエントランスへ。
奥のロッカーに荷物とコートを収め、5階のミュージアムギャラリーへ進む。
まずは、左手のレクチャールームで本展の簡単な解説を聴いてみる。
『8月24日』という日付をキーワードに、
ヴェスヴィオ山の大噴火、ポンペイ埋没の様子が紹介されていた。
★ポンペイの輝きアマゾンの頭部
ポンペイ考古学監督局蔵
展示ブースへ進む。
展示された、貨幣、宝飾品、家具などの出土品から、古代ローマ時代の暮らしぶりが手に取るように見ることができる。
8月の暑いポンペイでは、掘り起こされた街並みを歩くだけで精一杯だったが、いまこうして、数々の出土品を眺めていると、あの石づくりの家に、人々の豊かな暮らしがあったことが、容易に想像できる。
しかし、驚くべきは宝飾品の精巧さ。指輪,首飾り、腕輪・・・。
金銀に陰陽刻を施し、エメラルドや紅玉随をはめこんだ指輪ひとつをとっても、現代の宝飾デザインに通じるものばかり。
今の装飾品の原型が、2000年前に確立されていたことに驚く。
そういえば、フィレンツェのポンテベッキオにある宝飾店で、
ポンペイから出土したアクセサリーを再現して売っていたなぁ。
そして本展最大の目玉の「竪琴弾きのアポロ」。
高さ2,5メートル、幅5メートルの大きさの三面壁画。
これはポンペイ南側のモレージネ地区で発見されたもの。
ポンペイ「秘儀荘」に「ポンペイの赤」と呼ばれる鮮やかな色彩壁画が残されているが、
それをはるかにしのぐ鮮明な赤に、しばし足を止め見入ってしまった。
竪琴を弾くアポロは、暴君として知られる皇帝ネロを表すといわれているらしいいが、
顔はなんだかおだやかに見える。
ポンペイの町をスニーカーで歩いた夏と、2000年前古代ローマ時代を
時々時間旅行しながら、イタリアで買ってもらった指輪の感触を確かめる。
「マリーナ門」の文字がとても懐かしく感じた。
一度しか行っていないのに。
ミュージアムショップでポンペイグッズを探していると、
携帯にメール着信のランプが点灯。
『背後に注目』と書かれただけのショートメール。
「??」
振り向けば、夫が立っていた。
「いつ来たの」
「ついさっき」
「見た?」
「ずっと見てた」
どうやら、私の後から、ついてきていたらしい。
「その前に電話したんだけど、でなかったじゃん」
サイレントモードにしていたので、着信を見逃していた。
「仕事が早めに片づいたから車を飛ばしてきたんだ」
「イタリアドライブのときみたいに?」
「さすがに、日本じゃ無理だけどね」
「軽くなんか食べない?なんとなくイタリアンって気分なんだけど」
「2Fとスカイラウンジにレストランがあるみたいよ」
「じゃ、行ってみよう」
→次回へ続く。
ポンペイの輝き 古代ローマ都市 最後の日
(最新情報はオフィシャルサイトでご確認ください)
■会場:サントリーミュージアム[天保山]
■会期:2006年11月18日(土)〜2007年1月21日(日)
■開館時間:10:30〜19:30(最終入場は19:00まで)
■休館日:毎週月曜日
■入場料 ※( )内は特別鑑賞券
大人 1,200円(1,100円)シニア(60歳以上) 900円
高・大学生 900円(800円)小・中学生 500円
※特別鑑賞券は、電子チケットぴあ(Pコード:686-935)、ローソンチケット
(Lコード:55380)、コンビニ各店(一部除く)などで発売中です。
■会場名称:サントリーミュージアム[天保山]
■住所:〒552-0022 大阪市港区海岸通1-5-10
■TEL:06-6577-0001
■URL:http://suntory.jp/SMT/
■交通機関:
●電車をご利用の場合
地下鉄中央線「大阪港」駅1番出口下車徒歩約5分
●バスをご利用の場合
市バス「天保山」下車徒歩約3分 [大阪駅88系・なんば60系]
●自動車をご利用の場合
阪神高速道路 大阪港線・湾岸線「天保山」出口より車約5分
●駐車場料金
乗用車:30分につき180円/台
観光バス・マイクロバス:5時間以内2400円/台
※観光バス・マイクロバスの駐車につきましてはお問合せください。(TEL:06-6577-0001)
ユニバーサルシティポートとの間はシャトル船で約10分
地図:オフィシャルサイトの交通アクセスページへリンクします。