こどものころ、いつもとなりに手塚治虫作品があった。
物心ついたときには、「リボンの騎士」や「ジャングル大帝」がテレビでながれていた。
ココアにミルクをいれるように、パンにジャムを塗るように、手塚治虫の漫画を吸収して育った気がする。
小学生から中学生くらいだったかな。「三ツ目がとおる」や「ブラックジャック」を読みあさっていたのは。
少年が成長する過程に手塚作品が、サンドイッチの具のように挟み込まれていた。
大人になり「ブッダ」と出会い、お釈迦様の一生を改めて学び、
映画になった「火の鳥」シリーズで、輪廻転生を具体的にイメージできた。
手塚作品から様々な世界を知り、興味のきっかけとなった。
こんな話をしても、妻には、そこまでの思い入れがないらしい。
手塚漫画は、少年たちのバイブルだったのかもしれない。
それでも、「手塚治虫記念館」行きは、つきあってくれた。
兵庫県宝塚市に建てられた地上2階地下2階建ての記念館。
屋上には遺作となった「ガラスの地球を救え」をテーマに、ガラスの地球が設置されている。
阪急宝塚駅から花のみちを歩いていくと、まず、記念館前にある火の鳥のモニュメントが
目に飛び込んでくる。
ここが最初の撮影ポイントのようで、何人かが記念撮影していた。
自分たちも、とりあえず1枚押さえる。お互いに撮り合っていると、
見知らぬおじさんがシャッターを押してやるから二人で並ぶように言ってくれた。
先に進むと、通路に敷き詰められた、キャラクターの手形、足型。
ロサンジェルス・チャイニーズシアター前に敷き詰めたれた
ハリウッドスターの手形を思い出した。そういえばあの場所にも、スターウォーズのR2D2やドナルドダックの足跡があったなぁ。
通路脇にはブラック・ジャックやヒゲオヤジから火の鳥、ヒョウタンツギなど、お馴染みのキャラクターのレリーフが勢揃いしている。なんとなくフロリダのディズニーワールドに似たような演出があった気がする。
ディズニー映画に大きな影響を受け「あんなアニメを作りたい」と
「ジャングル大帝」などを世に放った手塚氏だったが、
記念館のエントランスまでディズニー風の演出に似るとは思っていなかっただろう。
館内にもいたるところに、キャラクターをモチーフにした装飾がちりばめられていた。
リボンの騎士のレリーフ、天井にはアトムを中心としたキャラクターのステンドグラス。
ファンにはたまらない装飾だ。
1階は手塚治虫自身の展示室。ベレー帽、メガネ、生原稿、小学生時代の自筆昆虫図鑑など、在りし日の手塚治虫を回顧する遺品が展示されている。
階段を上がると年代物の単行本の展示。漫画・ビデオが楽しめる「手塚治虫ライブラリー」、ジャングル大帝の世界を再現した休憩コーナーなど。自由に漫画を読んだり、ビデオをることができる。
地下ではアニメ制作が体験できる工房があり、親子で熱心にイラストを描いていた。
ひとおとり見て外に出ると妻は、
「ふしぎなメルモも、手塚作品だったのね。小学生の頃、学校から帰ると、再放送していたので、よくみてたわ。弟が小さかったから、自分と置き換えてね。おかあさんは外で仕事をしていたので、その時間だけ、メルモちゃんに感情移入できたのよね」と、懐かしそうに言った。
「昭和」という時代を過ごしてきた大人たちにとって手塚作品は、
懐かしい以上の存在感を残しながら、今もそれぞれの記憶の中で生き続けているようだ。
売店では、キャラクター入りグッズが懐かしくて、いろいろ買ったけど、
人前で使うのは、ちょっとはずかしいということに、あとで気がついた。
●「手塚治虫記念館」の詳細●
休館日などの最新情報は公式サイトをご覧ください。
http://www.city.takarazuka.hyogo.jp/tezuka/
所在地
〒665-0844 兵庫県宝塚市武庫川町7番65号
入館料(個人)
大人500円
学生(中・高校生)300円
小人(小学生)100円
※30人以上の団体割引あり。
交通
JR・阪急「宝塚」駅 花のみちを徒歩8分
阪急「宝塚南口」駅 宝塚大橋を渡り徒歩5分
(JR伊丹駅、JR川西池田駅、阪急川西能勢口駅、能勢電鉄日生中央駅方面からは宝塚駅下車、阪急伊丹駅、阪急三宮駅方面からは宝塚南口駅下車。)
専用駐車場はありません。周辺有料駐車場をご利用ください。
地図 (公式サイト)
http://www.city.takarazuka.hyogo.jp/tezuka/
問い合わせ先
TEL (0797)81-2970 FAX (0797)81-3660
開館時間
9:30AM~5:00PM
(入館は4:30PMまで)
休館日
毎週水曜日(祝日と重なる日は開館)
12/29〜12/31、2/21〜2月末日。臨時休館有り
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